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官浪の「文房具雑学」~マジックインキ編~

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官浪の「文房具雑学」~マジックインキ編~大人も子供も使い続けるマジックインキ!!
日本で最初のマーキングペン「マジックインキ」の開発のきっかけですが、昭和25年10月、当時内田洋行の社長であった内田憲民氏が「アメリカの進んだ産業界を視察し戦後復興に役立てよう」という目的でアメリカ各地を回られました。その際に「スピードライ社」が発売しているフェルトペンを持ち帰りました。帰国後に行われた見本市でこれを見つけた寺西化学先代社長・寺西長一氏は、インキが毛細現象によりフェルトペンの先から流出する機構であるこの新しいペンの研究開発をしたいと申し出て、インキ成分の研究と構造の研究開発に取り掛かりました。開発の構想としては、「どんな素材にも書け、すぐに乾き、水に流れず、滑らかな書き味をもち、持ちやすく、色も鮮やか、かつ長期の保存に耐える」ことを目標としましたが、どんな素材でもすぐに入手できる現在の状況とは違い、染料の開発から始めたという当時の開発者の苦労は大変なものでした。
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      写真(上) 左が発売当初のマジックで、右が現在のマジックインキ

そして、「マジックインキ」として内田洋行とともに発売したのが、昭和28年のことでした。協同で開発・販売したことから「マジックインキ」の商標登録は内田洋行になっています。『どんなものにもよく書ける』という、これまでにない新しい筆記具ということから名称を「魔法のインキ」という意を込めて『マジックインキ』と命名し、筆記具業界に革命を起すべく新発売となりました。速乾性の筆記具に馴染みのなかった日本では販売に苦戦を続けましたが、昭和32年に転機が訪れ街頭での選挙速報やテレビのニュース解説などの場面で活躍を始めました。当時売れっ子の漫画家・長崎抜天さんが長大な紙にインキの補充もせずに一気に漫画を書き上げ驚く観衆に向かって、「魔法のタネはこれ!」と言ってマジックインキを見せたパフォーマンスや山下清画伯のマジックを使った点描画でも一躍有名になり、大ヒット商品となりました。60年経った現在でも形状はほぼ発売当時のままで、売れ続けています。当時「魔法のインキ」だった「マジックインキ」は今では筆記具の一分野として大きな市場を得ています。
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                                 (取材協力 寺西化学工業㈱)
by kannamijohhou | 2013-07-16 13:51

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